小屋裏換気の性能に関する協会の見解


小屋裏換気の性能について

 

 屋根換気メーカー協会は、棟換気材等の小屋裏換気材の性能について下記基準に準拠し、

 実開口面積を表記することを基本としています。

 

小屋裏換気の基準を定めているもの

 a)独立行政法人 住宅金融支援機構

  「木造住宅工事仕様書」第Ⅱ章 8.9小屋裏換気

 b)住宅性能表示制度

  日本住宅性能表示基準・評価方法基準の告示3-1(3)イ①g小屋裏の基準  

   ・基準では何れも換気口の面積が定められています。

   ・換気材の設置位置によって換気口面積と天井面積の割合が定められています。

   ・換気口面積とは実開口面積(見付けの開口面積)を指し、製品の実際に通気する

    部分の最小面積を算出したものです。

   ・棟部で排気する場合において開口部の形状が複雑で実開口面積を求めることが困

    難な場合には、測定で求めた「相当有効開口面積(αA)」を使用しても良いと

    されています。(木造住宅工事仕様書の留意事項)

 

 

 近年、我が国の木造住宅は断熱・気密性能が年々向上していることに加え、多様なデザインや工法で建てられるようになってきました。それに合わせるように、木材の乾燥を保つ換気工法も従来の天井断熱・小屋裏換気以外の方法が求められています。

 

 しかし、屋根や小屋裏換気に関する公的な技術ガイドライン(金融支援機構の木造住宅工事仕様書など)では、換気の規定が提示されてから数十年間、ほとんど変更されておらず、また、我が国の多様な気候(区分)に対して個々には規定されていません。多様なデザインへの対応とともに、気候特性ごとの木材の乾燥性能を確保する設計・施工のガイドラインの提示が必要だと感じています。

 

2019年に当協会からの支援も頂き、大学キャンパス内に実大の実験住宅を建設し、2020年から主に非居住域の換気・結露に関する研究を開始しました。今後、そこでの各種測定や、実測値を再現するシミュレーションの構築により、各種屋根形状・工法や各地の気候特性に応じた、住宅の長寿命化につながる新たな設計・施工のガイドラインを提示していきたいと考えています。

 

 当協会は、換気部材の普及を通して良質な住宅づくりに貢献しており、会員企業の屋根換気材は全国各地で採用されています。市場に対して、換気の重要性の理解推進や研究成果の普及に重要な責務を担う団体と考えています。

松岡 大介

ものつくり大学 技能工芸学部建設学科 教授。

東洋大学建築学科卒業、同大博士前期課程修了、株式会社ポラス暮し科学研究所に勤めながら京都大学大学院博士後期課程での学位取得を経て、現職。

博士(工学)。一級建築士。